【特集】教師として 兄を思い伝える阪神淡路大震災

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  • เผยแพร่เมื่อ 27 พ.ย. 2024
  • =2022年度関西写真記者協会 協会賞 =
    テレビ・ニュース映画の部 企画部門 ★★金賞★★ 
    カメラマン 鎌田一成
    会ったことも、声を聞いたこともない兄の存在を通して、阪神淡路大震災を伝える教師がいます。
    なぜ阪神淡路大震災を忘れてはいけないのか。兄の命日に教壇に立った教師の思いです。
    新しい年を迎え、高光愛恵さんは仕事に追われていました。
    高光さんが担任として受け持っているのは5年生の子どもたちです。やんちゃざかりですが、この日は真剣な表情で授業に取り組んでいます。
    高光さんが勤める岩園小学校では、毎年1月17日に向けて小学1年生から6年生まで全校児童が震災について学びます。高光さんのクラスでも親に話を聞くなど子どもたちが学習を進めています。
    高光さん
    「毎年毎年、過ぎたこと。みんな阪神淡路大震災があった時って生まれてないよね」
    児童
    「当たり前やん!先生も生まれてない」
    高光さん
    「生まれていなかったことだけど知っているし、今までも毎年もその日に学習している。なんでわざわざ26年も27年も前の1日にあった地震のことをなんで学習するのかなということを心にとめておいてもらうと嬉しいなと思います」
    高光さんは震災の1年後、1996年1月に生まれました。受け持つ子どもたちと同じ、震災を経験していない世代です。
    【高光愛恵さん】
    「みんなも生まれていなかった、私も生まれていなかった。じゃあなんで伝えていかないといけないと思うか、同じだからより伝わる」
    経験していなくても震災を伝えたい。そう強く願う理由があります。会ったことのない兄の存在です。
    1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災。高光さんの両親と兄が暮らしていた芦屋市は壊滅的な被害を受けました。
    当時市内にあった建物の半数近くが全壊か半壊となり、幼い子どもたちを含む443人が亡くなりました。高光さんの兄、大地さんも犠牲者の1人です。
    【高光愛恵さん】
    「先生の亡くなったお兄さんという存在を知ってもらう。それまであった命が亡くなっているというのはどういうことなのかと、だからみんなが伝えていかないとあかん」
    高光さんが勤務する岩園小学校は27年前、避難所として傷ついた市民を受け入れました。赴任してきた頃の高光さんをサポートしていた、大西容子さんは震災当時、岩園小学校に勤務していました。
    【大西容子さん】
    「高光さんのような立場の方が伝えてくださることでぐっと震災を知らない世代に近しい話題として深く考えるきっかけを作ってもらえるんじゃないかと思っています」
    高光さんの兄、大地さんは、母の淳子さんにとって初めて授かった子どもでした。一緒の時を過ごしたのはわずか2年1カ月。大地さんとのあすを思いながら眠りについた淳子さんを襲ったのは大きな揺れと衝撃でした。
    【高光さんの母 淳子さん】
    「助け出されて外に出て周りを見渡して自分の家も…あれ、つぶれているという感じを見て初めて地震だったんだと思った。
    私はずっとそばにいて守っているつもり、自分では大地を助けている、守っているつもりでいてたんですけど、片時も離れたことがない子がいなくなるので、自分は何しているのかなという感覚。なんで自分は生きているの」
    世の中が復興へと歩みだす中、立ち止まったままだった淳子さん。
    そんな頃に授かったのが愛恵さんでした。
    【淳子さん】
    「『この子じゃないの、私の子どもは大地なの』という思いが強くて受け入れるのに時間がかかった。普通に生活はできる、笑うし食べる 会話もするし。だけど大地を亡くした傷が癒えることはないです」
    仕事を終えた高光さんは百貨店を訪れていました。この日は、12月17日。高光さんたち家族にとって大切な日でした。
    12月17日は、亡くなった大地さんの29歳の誕生日です。
    家族の誕生日は必ずホールケーキを囲んで祝う。これは高光さんたち家族の約束事です。
    【淳子さん】
    「悪いことをしたら『大くんに怒られるで』と言う。何かあっても『あ、大くんが』とか普通にそう。
    【高光さんの弟 海陸さん】
    「大切な日とか大くんの前で『行ってきます』って言うよね。何かあるたびに」
    家族の間での呼び名は「大くん」。
    その名前が会話の中で出てこない日はありません。
    【淳子さん】
    「大地がいないことは悲しいし、いてくれるのがベストなんですけど 今の子どもたちが幸せを与えてくれている」
    【高光愛恵さん】
    「伝えないとあかんとか義務じゃないけど、自分にできることの一つだなと思って今やっているし。今の自分が置かれている状況にはなんか意味があったのかな」
    大地さんが家族一人ひとりを、そして高光さんと震災を結んでいます。
    兄の命日にあたる1月17日、高光さんは子どもたちの前で震災と兄のことを話すことにしました。
    目の前のノートには母から教えてもらった大地さんのことがつづられています。
    【高光愛恵さん】
    「殴り書きで書いて、聞いて 書いて、聞いて。お母さんも泣くしわたしも泣かれたらなくし、聞いたまま書きました」
    「震災を経験していない」。
    子どもたちと同じ立場にある高光さんですが、わが子を亡くすという消えない傷を抱える母の思いをそばで痛いほどに感じてきました。
    【高光愛恵さん】
    「後からこうしておけばよかったなとか母がたくさんそれを思ったかなと思うので。うちだけじゃなくて6000人以上の人たち分の後悔とかがあると思うのでそこから学べることはいっぱいある、備えることも」
    1月17日、大地さんの命日。高光さんは、教壇に立ちました。
    【高光愛恵さん】
    「先生を生むまでもそうやし、先生のお母さんにとっては生きるという選択肢がつらかったことなんだろうなということを先生は思っていて、生きることを選んでくれて先生のことを生んでくれたから今みんなにこうやって話ができているし出会えているし笑って過ごせてるんだと思っています。1月17日はやっぱり先生にとっても先生の家族にとってもめちゃくちゃ大事な日。みんなが今聞いた話を自分の子どもとか周りの人に伝えていってくれたら2歳までしか生きられへんかったけど先生のお兄ちゃんの命があった意味というのができてくるんじゃないかなと思います」
    【話を聞いた児童は】
    「先生がつらい過去を私たちに教えてくれたことがすごい感謝しないといけないと思ったし、先生たちが私たちにそれを教えてくれた意味をきちんを感じて、命を本当に大切にしたいと思いました」
    「そう遠くない未来に地震が起きると言われているので、もしかしたら明日がないかもしれないし、今生きている一日一日を大切に生きようと思いました」
    高光さんはこれからも教壇に立ち続けます。震災を、兄が生きた証を、伝えていくために。
    【制作著作】サンテレビ
    ©SUN-TV,co.ltd
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