とても良い質問、ありがとうございます。少し長くなりますが最後までお付き合いください。 ①「形ある物体としての可算名詞のpiano」と「演奏機能としての不可算名詞のpiano」 a+単数名詞は「ある物体が一つの形丸ごとそこに存在している」ことを表します。ですから、例えばピアノが物体としてそこにひとつ存在していることを言いたいなら、aがつきます(例:There is a piano in my room.「私の部屋にはピアノが1台ある)。 ですが、「ピアノを演奏する」という表現の時は人間はpianoを別の視点でとらえています。例えば「ピアノを『1台』演奏する」というのは日本語でもなんとなく変に聞こえます。なぜならこの時言葉で表したいのは「物体として1台存在しているピアノ」ではなく、「ピアノは演奏することで音を奏でる」という「機能」の話だからです。つまり「ピアノを演奏する」という話をする時、人はピアノを「物体」として捉えず、「(音を奏でるという)機能」として見ていることがわかります。 これは「一回の食事」として可算名詞となるmealと、その食事を「朝用、昼用、夜用のどの機能として食べるのか」という「機能」として捉える不可算名詞のbreakfast, lunch, dinnerの関係に似ています。本来不可算名詞は氷や皮、粘土など、「いくら形を崩してもそれはそれ」という「材質」を指しますが、「氷=冷やす機能」「皮=保護機能」などのように「材質」というのは「機能」と直結しているので(だから何かを作るの時の「素材」になります)、機能を表す名詞も不可算名詞になるのが英語です。機能が不可算名詞になるので有名なのはschoolですね。建物としての学校ならa schoolといえますが、「授業」としての学校ならHe is at school now.(彼は今学校だよ=授業を受けているよ)ならschoolは不可算名詞です。 「演奏している時のpiano」は英語話者にとって不可算名詞として見られています。 ②他のではなくそれを意味するthe バンドやオーケストラなどで「〜という楽器を演奏する」時には「play the 楽器」となるのが普通です。これはバンドを構成する楽器がいくつかあって、その中で「私が担当するのは他の楽器ではなくこの楽器だよ」という意味での「区別のthe」です。 ③演奏家が自分の演奏する楽器が何なのかを説明する時にはaもtheもつかないことが多い この説明はジーニアス英和辞典のpianoの項に載っています。 I play piano in a jazz band called X.「私はXというジャズバンドでピアノを弾いている」 この場合のpianoにはaもtheもついていませんが、pianoが1台の物体ではなく演奏機能を表していることでaは不可、そして、theをつけても間違いではないのですが、実際の用法としてtheは省かれることが多いです。これはおそらく演奏家が「自分の演奏の話だけをしていて、他の楽器担当の演奏家と比較しながら何かを話しているわけではない」という心情があるからtheをつけないのではないかと思われます。 ④最後に 実際のいくつかの例文を見ながら何が起きているのかを確認して見ましょう。例文はウィズダム英和辞典のplayの項からです。 Well, I'd love to play the piano. I love music, and I do play piano. (今の職業以外になりたい職業を聞かれて)そうねえ, ピアノが弾きたいわ, 音楽が好きなの, 私ピアノを弾くのよ →今の職業以外で演奏家になりたい、そして楽団の中で「他の楽器ではなくどの楽器を弾きたいか」ということが意識されるのでthe+楽器となっている Someone's playing a piano. 誰かがピアノを弾いている (「(どんなピアノだかわからないが)ある(種の)ピアノ」の意) →これは「演奏機能」の話というより、誰かが演奏する音色を聴くことで「そこに物体としての1台のピアノがあるね」という「物体の発見」の話をしているのでa pianoとなっている Daddy would play my piano and sing before he died. 父は生前よく私のピアノを弾いて歌ったものだ. →これも「演奏機能」というよりは、「物体としての1台の私のピアノ」としてピアノを捉えている(つまり可算名詞)。そして、「とある1台のピアノ」ではなく「私のピアノ」と限定しているのでa pianoではなくmy pianoとなっている。 以上です。お疲れ様でした。
この動画とは関係ありませんが、ChatGPTで "I packed my bag with full of books." は誤りと指摘を受けました。理由は with と full of が同じ意味で with full of では重複 (= redundant) になるからでした。"I packed my bag full of books." または、いっぱいの本であることは必ずしも意味しないが "I packed my bag with books." であれば正しいとのことでした。言われてみればそのとおりなのですが、pack A with B の型をただ暗記しているとついやってしまいがちなミスで新鮮に感じました。
@@TokiyoshiEnglishCompany お返事ありがとうございます。おっしゃる通りでした。ChatGPTでも I packed my bag full of books. は意味の重複で I packed my bag with books. でよいとの結果が出ました。ただ一方で、pack a bag full of / full with を見かけることがあります。これは大量であることを強調するイレギュラーな形と考えればよいのでしょうね。
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などなど、英語学習に関する質問大募集中です
4時間超えの動画お疲れさまでした。
色々な人の文法解説動画を見ますが、時吉先生の解説が圧倒的にわかりやすいです!
ありがとうございます!20日発売の新刊「本当はおもしろい中学英語」ではさらに詳しく解説していますのでこちらもよろしくお願いします!
早速保存しました。
キッチリ観て行きたいと思います❣️
ありがとうございます。
いつも分かりやすい動画を投稿くださり、本当にありがとうございます。時吉先生のおかげで英語を前向きに勉強しよう、それどころか、英語という言語の面白さに気付かせて頂きました。歩みは遅くとも、一歩ずつ頑張ります。心から感謝を申し上げます☺
こちらこそありがとうございます!動画を作るのは楽なことではありませんが、そう言っていただけることで、次への力が湧いてきます。
昔時吉先生のサイトを読んで、めちゃくちゃ分かりやすくて、目からウロコでびっくりした経験があります!めちゃくちゃ凄い人です!!時吉先生の解説を聞くと聞かないとでは英語の理解力に雲泥の差が出てきます!ぜひ一人でも多くの人に見てもらいたい動画です!!
ありがとうございます!心の支えになります...😍
2コマ漫画と1コマ漫画など、なるほど!そういうことか!とすっきり合点がいくことばかりです。長い年月趣味で英語に親しんでいますが、こんな分かりやすい解説は初めてです。
ありがとうございます。
ありがとうございます。お役に立てて嬉しいです。
英語初心者です。
とても分かりやすい説明で、時吉先生の動画で英語勉強続けられそうです。ありがとうございます!
またこちらの中学英語の動画を見終わった後はこの動画で勉強するといいなどありますか?高校英語の方に入っていけばいいでしょうか?
それで良いと思いますが、中学英語を深めたければ私の「本当はおもしろい中学英語」(明日香出版)もおすすめです。その後高校英語に入った方がより障壁が低くなると思います。
英語が嫌いになる原因でもある
教科書的な文法を、
ここまで真正面から分かりやすく説明できる方は
そんなに居ないですよね…
シンプルに
声のトーンや、言葉のテンポからして
分かりやすく、説明が上手いので
疲れる事なく聞き続けられます。
まとめ動画本当にありがとうございます!
ありがとうございます。お役に立てて嬉しいです!
ほんと、認知言語学って面白いな。文法の本質を捉えることはマジで大事。時吉先生がきっかけで、大学院で認知言語学を学ぼうと思います!
ありがとうございます!やってきた甲斐があります。
ここ最近時吉先生の動画を見てすごく勉強になってます!
ありがとうございます。お役に立てて嬉しいです!
毎日5分〜10分見る癖つけてます!とっても参考になる🙏🏻
ありがとうございます。素晴らしいです!
1:08:22
失礼と存じますが、指摘させていただきます。2:20:50あたりの助動詞について、のタイムラインがありません。
質問失礼します。崩したらそれと呼べないものにaをつけますが、なぜピアノなどにはaがつかないのでしょうか?
とても良い質問、ありがとうございます。少し長くなりますが最後までお付き合いください。
①「形ある物体としての可算名詞のpiano」と「演奏機能としての不可算名詞のpiano」
a+単数名詞は「ある物体が一つの形丸ごとそこに存在している」ことを表します。ですから、例えばピアノが物体としてそこにひとつ存在していることを言いたいなら、aがつきます(例:There is a piano in my room.「私の部屋にはピアノが1台ある)。
ですが、「ピアノを演奏する」という表現の時は人間はpianoを別の視点でとらえています。例えば「ピアノを『1台』演奏する」というのは日本語でもなんとなく変に聞こえます。なぜならこの時言葉で表したいのは「物体として1台存在しているピアノ」ではなく、「ピアノは演奏することで音を奏でる」という「機能」の話だからです。つまり「ピアノを演奏する」という話をする時、人はピアノを「物体」として捉えず、「(音を奏でるという)機能」として見ていることがわかります。
これは「一回の食事」として可算名詞となるmealと、その食事を「朝用、昼用、夜用のどの機能として食べるのか」という「機能」として捉える不可算名詞のbreakfast, lunch, dinnerの関係に似ています。本来不可算名詞は氷や皮、粘土など、「いくら形を崩してもそれはそれ」という「材質」を指しますが、「氷=冷やす機能」「皮=保護機能」などのように「材質」というのは「機能」と直結しているので(だから何かを作るの時の「素材」になります)、機能を表す名詞も不可算名詞になるのが英語です。機能が不可算名詞になるので有名なのはschoolですね。建物としての学校ならa schoolといえますが、「授業」としての学校ならHe is at school now.(彼は今学校だよ=授業を受けているよ)ならschoolは不可算名詞です。
「演奏している時のpiano」は英語話者にとって不可算名詞として見られています。
②他のではなくそれを意味するthe
バンドやオーケストラなどで「〜という楽器を演奏する」時には「play the 楽器」となるのが普通です。これはバンドを構成する楽器がいくつかあって、その中で「私が担当するのは他の楽器ではなくこの楽器だよ」という意味での「区別のthe」です。
③演奏家が自分の演奏する楽器が何なのかを説明する時にはaもtheもつかないことが多い
この説明はジーニアス英和辞典のpianoの項に載っています。
I play piano in a jazz band called X.「私はXというジャズバンドでピアノを弾いている」
この場合のpianoにはaもtheもついていませんが、pianoが1台の物体ではなく演奏機能を表していることでaは不可、そして、theをつけても間違いではないのですが、実際の用法としてtheは省かれることが多いです。これはおそらく演奏家が「自分の演奏の話だけをしていて、他の楽器担当の演奏家と比較しながら何かを話しているわけではない」という心情があるからtheをつけないのではないかと思われます。
④最後に
実際のいくつかの例文を見ながら何が起きているのかを確認して見ましょう。例文はウィズダム英和辞典のplayの項からです。
Well, I'd love to play the piano. I love music, and I do play piano.
(今の職業以外になりたい職業を聞かれて)そうねえ, ピアノが弾きたいわ, 音楽が好きなの, 私ピアノを弾くのよ
→今の職業以外で演奏家になりたい、そして楽団の中で「他の楽器ではなくどの楽器を弾きたいか」ということが意識されるのでthe+楽器となっている
Someone's playing a piano.
誰かがピアノを弾いている (「(どんなピアノだかわからないが)ある(種の)ピアノ」の意)
→これは「演奏機能」の話というより、誰かが演奏する音色を聴くことで「そこに物体としての1台のピアノがあるね」という「物体の発見」の話をしているのでa pianoとなっている
Daddy would play my piano and sing before he died.
父は生前よく私のピアノを弾いて歌ったものだ.
→これも「演奏機能」というよりは、「物体としての1台の私のピアノ」としてピアノを捉えている(つまり可算名詞)。そして、「とある1台のピアノ」ではなく「私のピアノ」と限定しているのでa pianoではなくmy pianoとなっている。
以上です。お疲れ様でした。
この動画とは関係ありませんが、ChatGPTで "I packed my bag with full of books." は誤りと指摘を受けました。理由は with と full of が同じ意味で with full of では重複 (= redundant) になるからでした。"I packed my bag full of books." または、いっぱいの本であることは必ずしも意味しないが "I packed my bag with books." であれば正しいとのことでした。言われてみればそのとおりなのですが、pack A with B の型をただ暗記しているとついやってしまいがちなミスで新鮮に感じました。
良い気づきです。さらに言えば、pack自体が「パンパンに詰める」といういみがあるので、さらにfull of booksというのは違和感があります。日本語で言えば「カバンを満タンの本でパンパンに詰めた」という感じですね。
@@TokiyoshiEnglishCompany お返事ありがとうございます。おっしゃる通りでした。ChatGPTでも I packed my bag full of books. は意味の重複で I packed my bag with books. でよいとの結果が出ました。ただ一方で、pack a bag full of / full with を見かけることがあります。これは大量であることを強調するイレギュラーな形と考えればよいのでしょうね。
ありがとうございます!
詞音さん
いつもありがとうございます!頑張ってください。
高校verもあるのかな?
鋭意作成中です!