猫「ここは譲らぬ」

[@沙汰烏]

以下歌詞です。
穏やかな昼下がり。
気温は低いけれど、今日は珍しく晴天でとても暖かい。
毎日雪だったせいか、久しぶりの陽気に誘われて行きつけの喫茶店に来た。
しかし、今日に限って私の席はセンキャクがいたのだ。
ねぇ、猫さん。
とっても気持ちよさそうだね。
ねぇ、猫さん。
君はすごく大きいんだね。白黒の模様が太陽の光でキラキラしてる。
困ったな。
いつもの私の席を占領する猫さん。
別にそれは悪いことじゃないけど、でもそこは私の特別な席なんだ。
どうして君は今日に限ってそこにいるんだい？
同じこと言いたそうな顔で私を見ているね。
確かにそうだ。
何故今日に限って、邪魔されなければならないんだって顔してる。
にゃーにゃにゃーにゃっにゃっにゃにゃ！
わからないよ。
にゃーにゃにゃーにゃっにゃっにゃにゃ！
表情で大体わかるけど、私にだって愛着があるんだよ。
私と君は似た者同士なのかもしれないね。
全く譲る気配のない君には負けたよ。
早い者勝ちだからね。
そう君が得意げに言った気がした。
別の席の椅子を持ってきて座る。いつもの席とは違って別の景色が見えた。
こんなのも悪くないか、そんなことを思いながら昔の事を思い出す。
ずっと好きだった、あの人を思い出す。
ずっと君を忘れない為に、この席に座る。
君が教えてくれた席は、いつも景色が綺麗で。私を小さな悩みから解放してくれた。
でももう君はいないんだね。
にゃーにゃにゃーにゃっにゃっにゃにゃ！
さっきから何を言っているの？
にゃーにゃにゃーにゃっにゃっにゃにゃ！
随分とお喋りなんだね。
誰かに似てる。
君がもしかしてあの人の生まれ変わりとか、そんなことないよね？
まさかね。
ほんの一日だけもらえたチャンス。
全てを覚えているわけじゃないけど、
ここに来れば君が来ると思ってた。
特にこんな気持ち良い日はね。
何も言葉は伝わらないけど。
君の困った顔を見てやろう。
うん、やっぱり僕も君が好き