第103回「いやな人にあったら」2021/4/19【毎日の管長日記と呼吸瞑想】| 臨済宗円覚寺派管長 横田南嶺老師

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  • เผยแพร่เมื่อ 13 ม.ค. 2025
  • 本日の管長日記は、「いやな人にあったら」です。
    最後に一日のはじまりを整える、呼吸瞑想がございます。
    本日もよろしくお願いいたします。
     
    ■管長日記「いやな人にあったら」
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    これも、とある企業の研修会のこと、質疑応答の時間で、「いやな人にあったら、どうしたらいいのですか」という質問がありました。
    これにはまず、いやな人にあうことは人生において避けられないことだと思うことですと。まず伝えました。
    お釈迦様が悟られた真理は、人生は苦であるということです。
    苦であるということは、自分の思うようにいかないということです。
    それは四苦八苦あると説かれました。
    生まれる苦しみ、これはまさにその通りで、生まれる時に自分の思うように日を選び、場所を選んで生まれることはありません。
    それから次には、老いる苦しみです。これも誰しも老いたくはありません。いつまでも若くいたのですが、思うようにいかず、老いてゆくものです。
    それから病の苦しみです。自分で病になろうと思う人はいません。思うようにいかずに、思わぬ病に罹ってしまうものです。
    それから死ぬ苦しみです。これこそ、思うようにいかないものです。
    これが四苦です。
    それに更に四つの苦しみが加わります。
    愛する人、愛しい人と別れなければならない苦しみです。
    愛しい人とはいつまでもずっと一緒にいたいものですが、思うようにいかずに別れなければならない時が来てしまいます。
    それから、憎い者と会わなければならない苦しみです。これも避けられないものです。
    次には、求めても得られない苦しみ。欲しいと思うものは、思うように手に入らないものなのです。
    そして、この体と心がこの迷いの世界に存在することがそもそも苦しみであるということ、四苦にこの四つを加えて、四苦八苦と申します。
    いやな人とあうのは、四苦八苦の一つでありますので、避けることはできないものです。
    世の中は、そういうものだと思って生きるしかありません。
    ただ、それだけでは解決になりませんので、少しお話をしました。
    「嫌な人はいない、嫌だと思う自分がいるだけ」という意味の言葉を聞いたことがあります。
    仏教的には、その通りなのです。
    はじめから、いやだという人はいないのです。
    問題は、私がいやだと思うことなのです。
    まず、その人のことをもう少し知ってみようと努力することを勧めました。
    自分にとっては、いやな人であってもその人は家族にとってはいい人なのかもしれません。
    なぜ、私にとっていやな事をするのか、何か原因があるのかもしれません。
    家庭で孤独であったりして、そのために、私に辛くあたっているのかもしれません。
    仏教は、「智慧と慈悲」の教えであります。
    智慧の根本は知ることです。仏の智慧というのは、一切を知ることなのです。
    私たちには一切を知るなど無理ですが、今自分が見ているのはほんの一面だと思って、もう少し視点を変えて、その人を見てみることです。
    もう少し深く考えてみますと、どうしてそのような人になったのかを考えてみることもいいかもしれません。
    本で読んだ話ですが、人工知能AIに、インターネット上で多くの人たちと会話を重ねて学習させてゆくと、ヒトラーを礼讃したり、差別的な発言を繰り返すようになったというのです。
    人は、いろんな情報や環境によって、作られてゆくものです。
    その人も、いろんな条件が重なり合って、いま私にこのような発言や行動をしているのだと理解を深めることも一つの方法であります。
    更に出来ることなら、人間はどんな人に会っても、自分には及びがたい何かを見いだすようにすることが大事で、そんな見方をしてみることです。
    鎌研ぎの名人の話があります。
    鎌研ぎの名人たるゆえんは、たとえどんなヘタな人が研いだ鎌であっても、自分には及ばない点を一点見つけることができるというのであります。
    いやな人だと思っているだけではなく、自分に及ばないところがどこかにあるのではと思って探してみることです。
    そんな事を話をして、最後に申し上げました。
    それでもどうしてもいやで仕方がない、駄目だと思ったら、逃げることも一つの方法ですと。
    ちょうどその日の新聞の投書で読んだことを伝えました。
    とある青年が入社して間もない頃、会社を辞めたいと父親に相談すると、「わかった、明日やめて帰ってこい」と言われたのでした。
    その人は、拍子抜けしたと書いていました。
    しかし、その一言で、心が軽くなって、いつやめてもいいと思ったら、不思議と頑張れる気がしたというのです。
    その結果その会社に残って頑張ったという話です。
    どうしてもいやなら、逃げる道もあると考えておくことも伝えたのでした。
    研修の講義では、仏教に説かれている身心の調え方や、更には臨済の思想などを話をしたのですが、多くの皆さんは、腹が立ったらどうしたらいいのかとか、イライラするのをどうしたらいいのかとか、いやな人にあったらどうしたらと、それぞれ日常のことで悩んでいるのだということが分かりました。
    仏教の智慧が少しでもお役に立てばいいのですが。
    横田南嶺
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