『アジフライ憲章』で全国区へ 長崎県松浦市 “聖地化” ブランディング成功の鍵
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- เผยแพร่เมื่อ 23 ธ.ค. 2024
- 2019年の聖地宣言から5年──“アジフライ”の聖地、長崎県松浦市。ブランド化成功の鍵は何だったのか?自治体・地元の飲食店が一丸となった「アジフライ憲章」や「マップ・グッズ制作」など “地域の宝”を世界へ発信する取り組みを取材しました。【住吉光アナウンサー(以下:住)】長崎の暮らし経済ウイークリーオピニオン。平家達史NBC論説委員とお伝えします。
【平家達史NBC論説委員(以下:平)】今週のテーマは──“アジフライの聖地” 松浦 ブランド化成功の鍵は?【住】知名度はすでに全国区ですよね。【平】長崎県松浦市は、2019年に「アジフライの聖地松浦」を宣言して5年目を迎えます。何故アジフライに着目したのか、その理由を聖地化の仕掛け人ともいえる友田吉泰松浦市長にお聞ききました。アジフライの聖地を宣言した友田松浦市長。ヒントとなったのは、ある自治体の取り組みでした。友田市長:
「松浦の宝物って何だろうということを考えました。大分県中津市って“唐揚げの聖地”って言ってるでしょ。唐揚げの聖地があるなら、“アジフライの聖地”があってもいいと思う。とりわけ松浦はアジの水揚げ量が日本一で、驚くほど美味しいアジフライがあるんですよ」松浦市の2022年のマアジの水揚げ量はおよそ1万9,000トンで全国1位。アジは、松浦沖の対馬暖流域に多く生息することから毎月1,000トン以上の水揚げがあります。水揚げされたばかりの新鮮なアジを“刺身”ではなく、あえて“フライ”にするのは、『生で食べるのが苦手な人にも食べてもらいたい』という思いからでした。
共通ルール「アジフライ憲章」でブランドを守る
友田市長:
「それまで松浦で見たことがないお昼のランチに行列ができる。地元の宝物をしっかり見つけてストーリーを作って発信していく。そして皆がやりたくなるような環境を作る。これが何より成功の秘訣かなという風に思いますね」【住】アジ自体は、元々あったものですが、改めて“地元の宝”としてその価値を見直したという訳ですね。そこから、どんな風にアジフライの認知度を上げていったのでしょうか?【平】市長の発案を具現化したのが、文化観光課の職員です。まず松浦のアジフライを名乗るために“必要な条件”をまとめた「アジフライ憲章(全8か条)」を作りました。職員は、松浦市内の飲食店に「この憲章を守って、アジフライをメインにしてほしい」とお願いに回ったそうです。単にキャッチフレーズを作るだけでなく、地元のお店にその憲章に合致したものを提供するようにお願いに回ったというのには頭が下がります。やるならばそこまで徹底しないといけないということだと思います。
品質管理のひとつ『ノンフローズン・ワンフローズン』
【住】(全8か条のなかには)『ノンフローズン、ワンフローズン』とありますが、これはどういうことでしょうか?【平】“ノンフローズン”とは「一度も凍らせずに作ること」、“ワンフローズン”とは「水揚げされたばかりのアジをその日のうちに捌き、パン粉をつけるまで仕込んで凍らせる」ことです。何度も凍らせて解凍をすると、鮮度が落ちることや、アジが水揚げされない日もあることから『ノンフローズン・ワンフローズン』でアジの味を守っているそうです。品質管理も徹底されているということです。【住】すぐに飲食店の理解を得られたんでしょうか?【平】いえ。大変なご苦労があったそうです。「松浦のアジフライの魅力を伝えたい」という市の担当者の熱意とアイデアが、飲食店経営者の心を動かしたようです。
“アジフライつり革”…マップやグッズで知名度を上げる
松浦市を始め、東京のアンテナショップなどでも配布されているアジフライMAP。市内でアジフライが食べられる店が掲載されていて、これまでに30万部発行されています。掲載されているのは、アジフライ憲章に賛同した35店舗。MAPを作るにあたり、市の担当者は3か月で120店舗の飲食店に協力を呼びかけました。松浦市文化観光課 高橋聡美 副主任: ※“高”の漢字は正しくは“髙 はしごたか”
「まずは『地元のお店の方の意識を変えてやるぞ』と内心思っていたんですけど、日々の活動がいつか気持ちを動かすことになるんじゃないかなという気持ちではおりました。今もその気持ちは変わっていないです」松浦市は、MAPだけにとどまらず、Tシャツやトートバッグ、ピンバッジ等およそ10種類のアジフライグッズを制作し販売。また松浦市内5か所にアジフライのモニュメントを設置したほか、松浦鉄道の車両のつり革をアジフライ仕様にするなど、知名度を上げる取り組みを続けています。松浦市文化観光課 山口玲子 課長:
「アジフライは “キラーコンテンツ” として松浦市の知名度を上げる手段の1つだと思っています。『松浦ってどんなところだろう?』って検索したり、訪れてくれたり。そしてアジフライを食して、他のおいしい物にも目を向けていただいて」
“同じブランド” 店舗は「独自色で勝負」
【住】アジフライMAPを見ながら、アジフライの“食べ比べ”をしてみるのも楽しそうですね。【平】MAPに掲載されている店舗のアジフライです。アジフライをパンにはさんだり、店主自ら釣ったアジをフライにしてニラソースをかけて提供したりと、35店舗が独自色を出してアジフライを提供しています。このうち、MAPに掲載されている2つの店舗を取材しました。松浦市に店を構えておよそ30年になる「あじ彩」では、アジの旨味を最大限に引き出すため、パン粉にあるものを加えています。あじ彩 店主 橋本成一さん:
「チーズを混ぜることによって旨味をアップさせてるんですよね」刺身でも提供する新鮮なアジをフライにしています。お刺身付きのアジフライ定食。一日限定30食です。あじ彩 橋本ひとみさん:
「県外やはりご遠方の方が非常に多いですね。アジフライを目的にいらしていただいています。身の厚さとかはびっくりなさいますね」松浦魚市場に隣接する「大漁レストラン旬(とき)」は、アジフライの聖地を宣言した2019年にオープンしました。こちらは“ノンフローズン”にこだわっています。大漁レストラン旬 荒山正志料理長:
「生魚しか使いません」脂がのった揚げたてのアジフライです。大漁レストラン旬 荒山正志料理長:
「300g以上(のアジ)を使うんですよね。そうしないと身が薄くなるんですよ。あんまり小さいのを使うとフワフワ感が出ないんですよね」松浦のアジフライの味を求めて、県外からもファンが訪れます。客(東京から福岡に転勤):
「むちゃくちゃフカフカして美味しいですね。美味しいです」客(佐賀から):
「しっかり食べました。肉厚でジューシーだなと思います」「完食しました。美味しかったです。いつも来ています」
アジフライ 空を飛ぶ(Fly)
【平】県の観光統計によりますと、松浦市を訪れる観光客の数は、聖地化宣言前の2017年は80万人だったものが、2022年にはおよそ88万人に増加しています。また、ふるさと納税返礼品としても人気で、聖地化宣言をした2019年には申し込み件数は200件だったものが、2022年には4,400件と、20倍に増えています。“アジフライ聖地化宣言”から6年目を迎え、全国的にも有名になってきている松浦のアジフライですが、友田市長にはまだまだ夢があるそうです。松浦市友田市長:
「これからですか。世界を目指しています。アジフライを日本中に世界中にアジフライFLY。アジフライ空を飛ぶで、世界に行きたいと思っていてもう仕掛けもやっています。」松浦のアジフライを世界へ。それを支えるのは松浦市民一人ひとりです。松浦市友田市長:
「まずは地元の“宝物”を見つけるところだと思うんですよ。案外地元にいるとその宝物って気づかないんですよね。当たり前すぎて。やっぱり大切なのはですね、地元の皆さんがそれ(宝物)を誇りに思ってくれるっていう、いわゆるシビックプライド(地域への誇り・愛着)になるくらい徹底的に取り組むってことが大切だと思いますね」
行政・協会・地元店が“ルール”を決めてしっかりとタッグ
【住】アジフライにとことんこだわって、市と地域住民が一体になることが成功の鍵だったんですね。【平】松浦市の例は他の地域の参考にもなることと思います。全国を見ると、「食」で成功している地域は増えています。例えば、「富山湾鮨」や「富士宮焼きそば」「静岡おでん」といったものがあります。【住】そうした取組みに共通点はあるのでしょうか?
【平】これらに共通するのは、一定のルールです。例えば…“富山湾鮨”なら──
「富山湾で水揚げされたネタを10貫」
「富山の県産米を使う」
「汁ものを付ける」
「ネタについて説明する」というルールがあります。“富士宮焼きそば”には「10か条」があり、“静岡おでん”には「5か条」があります。松浦市のアジフライもそうですが、そのルールを守りつつ、各お店がアイデアを出して、同じブランド名で競っています。
そして、何よりも大切なのは、行政や各協会と地元のお店がしっかりとタッグを組んでいるということです。
長崎は「食材の宝庫」ですから他都市の取組みから学んで、どんどん「食」を盛り上げていって欲しいと思います。
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