「ヨーガって何？」 前半

ヨーガのゴールが、聖典ヴェーダーンタに教えられています。それは「ひとつの宇宙観」にまとまります。人は、その宇宙観を知りたくて、この物理的な世界に体を装って、何度も何度も生まれてくると言われます。
普段、私たちは５つの感覚器官や考えだけにとらわれて、全体を知りません。５つの感覚器官の届かないエリアの世界や、さらに感覚器官や考えを使っている「私」を、私たちは知りません。感覚器官や考えという道具は、その道具を使っている「私」を知る道具として働きはしません。私は「私」を知る道具を持って生まれてはいません。
こうして、全体を知らないことから、私たちは普段、つじつまのあわない宇宙観を持ち続けています。ヴェーダーンタの勉強によって解き明かされる「私」は、とても、ユニークな私。「私は全体宇宙」という真実を生徒自身に見せるのが先生の仕事です。
ヨーガの故郷、ヴェーダの国の人々の目には、空間や時間をはじめとした宇宙全体は、ひとつの意識の現れた姿で、その生きた宇宙をバガヴァーン、または、イーシュワラと呼ばれます。
勘違いの宇宙観に閉じ込められた私。私は１６０センチで、５５ｋｇで、日本人で、独身で、従業員で、ときには幸せで、たいていは、むなしくて、とるに足らなくて・・・。だから認めてもらうためだけのかけひきに忙しいし、休日を待ち望んで働く人生だし、月曜の朝には溜息だし。こんなふうに、あがったり、さがったりが私なら、その考えの私が生徒です。
ヴェーダーンタの宇宙観では、その私は本当ではありません。空間や時間ですら閉じ込めることのできない私、イーシュワラこそが本当の私であると知り、ヨーギーたちはモークシャと呼ばれる自由を得るといわれます。私たち個人の根っこにある結論、「何かが足りない私」。その自分自身の結論からの自由こそが、ヨーガのゴールと教えられています。
ヨーガのゴール、ヴェーダーンタを学んでみましょう。