“ザッくん”が教えてくれたこと 牛飼い家族と目が見えない牛の物語

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  • เผยแพร่เมื่อ 6 ก.พ. 2023
  • 繁殖農家で特別に育てられた牛 “ザッくん”
    ザッくんは生まれつき目が見えません。足にも障がいがあります。
    通常、商品にならない牛は処分されますが、牛飼いの大石恵子さん(48)はザッくんの生命力にひかれ、育て続けています。サラリーマンと結婚したはずの恵子さんは「よもや牛を育てることになるなんて…想像すらしていなかった」といいます。
    夫の大石啓介さん(45)は会社員を辞め、“繁殖農家の2代目”として、故郷鷹島に戻ってきました。
    大石家の末っ子の煌太郎くん(11)は鷹島小学校の5年生。夢は料理人です。
    夏休みのお手伝いで、煌太郎くんの気持ちに“ある変化”が生まれました。
    大石家にザッくんが教えてくれたこととは…。
    「頑張れ、頑張れ」出産は命がけ
    牛舎の中で、啓介さんと恵子さんが母牛から赤ちゃん牛を取り上げます。啓介さん:「よしよしよしよし」
    恵子さん:「頑張れ、頑張れ」母牛は立ちあがり、産んだばかりの赤ちゃん牛を舐めました。啓介さん:「よし。大丈夫、まずは、まずはですね。でも(この牛は)お産はじめてやけん…。子牛に向かう、攻撃する親とかもおるけんですね」母牛が舐めればもう安心です。牛飼い二代目の父、啓介さん。最初は牛が怖かった母、恵子さん。そして、料理人を夢見る息子、煌太郎くんは、牛と生きる“あったか家族”です。
    出産──そして 9ヵ月間の子育て
    長崎県松浦市の最北にある離島、鷹島は元寇の島としても知られています。そして松浦はアジの水揚げ日本一!アジフライの聖地として、売り出し中です。小高い丘の上にある大石農場。『繁殖農家』の大石家は母牛に出産させて9か月ほど子牛を育て、様々なブランド牛に育てあげる『肥育農家』に出荷しています。ミルクは、生後3日で母牛から離した子牛に与えます。
    子牛に“飲み方”を教えるのは恵子さんです。健康に生まれた子牛たちが並ぶ、その奥にいるのが、ザッくん。
    恵子さんが、特別に育てている牛です。ザッくんは生まれつき、目がみえません。そして足も変形しています。恵子さん:
    「本当だったらですね、経済動物っていうのはもう、こういう子は、やっぱり経費がかかってきて、処分っていう形になるんですけど、どうしてもそれができなくて」恵子さんはザッくんの耳に、牛の個体識別番号をつけました。
    これが1人前の牛の証です。恵子さん:「牛になりました。…かっこいいですね…ははは」
    小学生の目に映った牛たち “命をいただく”ということ
    まだ残暑厳しい9月、小さなお客さんたちが、牛舎にやってきました。
    地元の鷹島小学校の2年生──社会科見学です。児童:「おはようございます」
    啓介さん:
    「私たちは牛を飼ってます。牛をお産させてお肉にする農家の方に買われていってってまでをお仕事にしてます」啓介さんがまず案内したのは、牛舎の一番端にいるザッくんでした。啓介さん:
    「牛ってね、全部が全部健康で生まれてくるわけじゃないっちゃんね。例えば目が見えなかったりとか、しっぽがない牛がうちに生まれてきたこともあります。
    この子1歳ぐらいになるんやけどちょっと目が見えないと。1歳で大300キロぐらいならんばいかんとけど、まだたぶん200キロぐらいかな」
    児童:「100キロ足らん?」啓介さん:
    「100キロ足らんね。“生きろうっていう意思”がある以上は私たちもね、ずっとやっぱり飼い続けていかんといかんけん。
    大きくなったらお肉になってみんなの晩御飯に並ぶ。ちゃんと命をいただきますっていうね。
    そういうこともよく考えて、今日は絵を描いてみてください」
    児童:「はい」 ザッくんの話に耳を傾けたあと、こどもたちは牛と向き合い、描き始めました。
    この日、いろんな牛が子どもたちの心の中にも描かれたはずです。
    旅立ちの朝──いってらっしゃいザッくん
    2022年、鷹島に ようやく秋がやってきた頃、恵子さんが煌太郎くんを連れて、牛舎に入っていきました。恵子さん:「ザッくん。ザッくん。はい。ザッくん」ザッくんの顔をなでながら、恵子さんはゆっくりと煌太郎くんに話しかけます。恵子さん:
    「明日ね、あのーザッくんね、出荷になるけんが、食肉センターっていうところに連れていくせん。うん。ザッくん、頑張ったもんね。煌太郎、ちっちゃいころから見たもんね。でもザッくん、お肉になるために生まれてきたとやけん、いってらっしゃいって言わんばね」煌太郎くんが、かすかに頷きます。ザッくんはここで535日、暮らしました。食肉センターへ向かう朝です。恵子さんは、ザッくんの身体をなでた後、牛を運ぶトラックにザッくんを乗り込ませます。変形して足元がおぼつかないザッくんの前足を懸命に引き上げます。恵子さん:「よいしょ。上がれ!よいしょ…おいしょ」啓介さん:
    「まあね、ここまで。これたっていうか…なにより妻がずっとかわいがっとったけんですね。こう生きる力を…やっぱずっと感じ取って、ずっとこう毎日、毎日…」何度か途絶えそうになった命でした。
    旅立ちの朝を迎えられたのは、ザッくんの生命力と恵子さんの思いです。
    そして商品にはならないザッくんを、家族で食べると決めたのも、恵子さんです。
    命を全うした牛と 命が生まれる瞬間
    ザッくんが旅立った夜の分べん室では、また新しい命が生まれようとしていました。
    煌太郎くんも母牛のそばで、出産を見守ります。啓介さん:「煌太郎、水もってきて」
    啓介さん:「よしよしよしよし。はい。よしよしよし」バケツに汲んだ水を持って煌太郎くんが柵の中に入り、目の前で、子牛が生まれました。啓介さん:「はい、よいしょ」
    恵子さん:「はい。(水)ありがとう」煌太郎くんが汲んだ水を子牛にかけると、頭を上げました。恵子さん:「あがった!あがった!あがった!よしよし」
    啓介さん:「よかった、よかった」煌太郎くん:
    「大変。しかもその生まれたあとでも、ちゃんと舐めてくれるのかとか」煌太郎くんに、牛が教えてくれたこと ── 生まれる奇跡と、命の重さ。
    ザッくんが生きた意味 “頑張ったね”
    2023年、新しい年が始まりました。恵子さんが冷蔵庫から取り出したのは、白いトレイに載った牛肉──
    命を全うし、大石家に戻ってきたザッくんです。恵子さん:
    「嬉しかったですね。やっぱりちゃんとお肉取れる場所があったんだと思ってですね、それだけ…。
    ダメになるかもしれないっていうのを聞いてたんでね。もう肉は食べられないかもって言われてたので、頑張ったねえと思って」家族で囲むこの日の昼食は──焼肉です。啓介さん:「いただきます」
    恵子さんと煌太郎くん:「いただきます」恵子さん:「どう?」
    煌太郎くん:「うまい」
    啓介さんと恵子さん:「ハハハハ(笑)うん…うまい」 啓介さん:
    「(一般的には)30か月近く飼ってお肉にするんですけど、この子の場合はその半分くらいでですね、お肉になったので…。うーん。まあ、全国に名だたるブランド牛がありますけど、味は落ちるかもしれないですけど、こうして私たちが食べることによってですね…牛が生きた意味があるっていうかですね。うん」料理人を夢見ていた煌太郎くんの気持ちに変化がありました。煌太郎くん:
    「牛飼いに、牛飼い(になりたい)です。ちょっときついけど…やりがいがあるっていう感じ」啓介さん:
    「やりがいを感じるって?おーそうなんですか。何か伝わっとんのかな?…魅力的な仕事ですからね」これからも牛と生きる。覚悟と矜持を持ちながら…。
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