ルカ1:46マリヤは言った。「わがたましいは主をあがめ、:47わが霊は、わが救い主なる神を喜びたたえます。:48主はこの卑しいはしために目を留めてくださったからです。ほんとうに、これから後、どの時代の人々も、私をしあわせ者と思うでしょう。:49力ある方が、私に大きなことをしてくださいました。その御名は聖く、:50そのあわれみは、主を恐れかしこむ者に、代々にわたって及びます。:51主は、御腕をもって力強いわざをなし、心の思いの高ぶっている者を追い散らし、:52権力ある者を王位から引き降ろされます。低い者を高く引き上げ、:53飢えた者を良いもので満ち足らせ、富む者を何も持たせないで追い返されました。:54主はそのあわれみをいつまでも忘れないで、そのしもべイスラエルをお助けになりました。:55私たちの父祖たち、アブラハムとその子孫に語られたとおりです。」
先週、ヨセフとマリヤがイエス様をお宿してから労苦したメッセージをしましたが、イエス様をお宿視するということは、素晴らしい祝福でした。マリヤはそのことを十分わかっていました。そのことをのちに「マリヤの讃歌」という歌を持って主を褒め称えるのでした。
１・魂と霊で主を喜ぶ
:46マリヤは言った。「わがたましいは主をあがめ、:47わが霊は、わが救い主なる神を喜びたたえます。
人には五感、つまり良いものを見る、良い音、音楽を聞く、良い匂い、かおり嗅ぐ、美味しいものを味わう、良いふれあいをする心地よさによる体σῶμαソーマの喜びがあります。これは人としてとても大切なことです。また、必要が与えられたり、家族がいたりという心ψυχὴプシュケーの喜び、これも人には欠かせません。これは心の喜びです。でも人にはさらに自分の霊が喜ぶ、霊πνεῦμαプニューマの喜びがあるのです。それらは健全であるべきです。
1テサロニケ5:23主イエス・キリストの来臨のとき、責められるところのないように、あなたがたの霊πνεῦμαプニューマ、たましいψυχὴプシュケー、からだσῶμαソーマが完全に守られますように
マリヤは心の喜びと霊の喜びを持って主を讃えました。霊の喜びとはなんでしょう。
私は、ある友人に、アブトモさん（自分のこと）は素晴らしい環境で生活しているのにどうしてブツブツ言うのと言われました。実は、体も心も十分に満足し喜んでいるのにモヤモヤしたものがあったのです。
それは、私が牧師として十分使命を果たしているのか？ということでした。自分は何のために大内に来て牧師をしているのかがあやふやだったのです。でも、今、私はこのために大内で牧師をしているのだという確信をいただきました。そして、モヤモヤとしたものが晴れて、すっきりしています。詳しいことは来年お話ししますが。とにかく私は、どんなに小さなことでも、人の目には映らないことでも、主が進められている愛のご計画の一端を確かに担っていると確信が与えられると、私の霊が納得し、喜んでいるのです。
マリヤは先週お話ししたように、救い主を御宿ししました。それは人間的には大変なことでした。しかし、それは、間違いなく主の救いのご計画の一端を担ったことでした。マリヤは救い主の母となる喜びのゆえに、マリヤの心も霊も喜び、その喜びを持って主をほめ讃えたのでした。
２・喜びの理由
:48主はこの卑しいはしために目を留めてくださったからです。ほんとうに、これから後、どの時代の人々も、私をしあわせ者と思うでしょう。:49力ある方が、私に大きなことをしてくださいました。その御名は聖く、:50そのあわれみは、主を恐れかしこむ者に、代々にわたって及びます。
マリヤは、具体的に喜びの理由を48節から50節で歌います。主を心と霊で喜び褒め称えた理由は、主が卑しいはしためである自分に目をとめられたということです。
マリヤは祭司ザカリヤの妻エリサベツと親類と書かれています。（ルカ1:36）　ですからマリヤはレビ族の一人だったかもしれませんが実ははっきり断言はできません。ただはっきりしていることはマリヤはユダ王国の王ダビデの家系のヨセフと婚約していたということだけです。でも、ヨセフと婚約するに至るのは、偶然が重なったようなドラマがあったと思います。ダビデの先祖、つまりイエス様の先祖になったルツの物語は、麗しいものでした。そのことによって、マリヤを通してお生まれのイエス様はダビデの子孫として御生まれになったのです。ただ、マリヤは家がお金持ちとか身分が高かったということはない、あまり注目されない田舎の目立たない家の女性でした。救い主の母として選ばれる積極的な理由はなかったのです。しかし、主はマリヤを選ばれたのです。
私は、岐阜県に生まれた私がこうやって山口県山口市の大内に来たのはドラマがあるし、主に改めてお聞きしますと、全ては主のお導きでした。主の選びは深淵です。マリヤは、田舎のナザレの娘である自分を選ばれた主に感謝するのです。
そして、主はマリヤに主のわざというしかない処女のまま聖霊によってイエス様を宿らせたのです。主は信じられない大いなることをされました。
３・救い主を宿す意味
:51主は、御腕をもって力強いわざをなし、心の思いの高ぶっている者を追い散らし、:52権力ある者を王位から引き降ろされます。低い者を高く引き上げ、:53飢えた者を良いもので満ち足らせ、富む者を何も持たせないで追い返されました。:54主はそのあわれみをいつまでも忘れないで、そのしもべイスラエルをお助けになりました。:55私たちの父祖たち、アブラハムとその子孫に語られたとおりです。」
マリヤは、救い主を御宿しすることがどういうことか51節以下で歌います。主は、イスラエルを祝福する約束を、イスラエルの最初の先祖であるアブラハムの時から、イスラエルに与えておられました。主は、イスラエルへの憐れみを忘れることなく、アブラハムに約束された通りに、ご自身の御腕を持って、高ぶる権力者を引きづり下ろし、低い者を引き上げ、飢える者をみちたらせ、富む者を追い返し、イスラエルを助けてくださるのです。その約束の印が、マリヤに宿されたイエス様なのです。
創世記12:1主はアブラムに仰せられた。「あなたは、あなたの生まれ故郷、あなたの父の家を出て、わたしが示す地へ行きなさい。:2そうすれば、わたしはあなたを大いなる国民とし、あなたを祝福し、あなたの名を大いなるものとしよう。あなたの名は祝福となる。:3あなたを祝福する者をわたしは祝福し、あなたをのろう者をわたしはのろう。地上のすべての民族は、あなたによって祝福される。」
マリヤの讃歌は、喜びを表す歌であると同時に、イスラエルの将来を約束する預言でもあリます。イスラエルの歴史は、ダビデ王の時代など栄華を極めた時期もありましたが、バビロニア帝国によって滅ぼされ、国を失い、アブラハムに約束された状況にはほど遠くなっていました。しかし、イエス様の誕生は、イスラエルに与えられた約束が間違いなく100%果たされる補償となったのです。
以上は、イスラエルを中心にした預言ですが、ユダヤ人でない、つまり異邦人である私たちにはどういうことになるのでしょうか？
ローマ10:19でも、私はこう言いましょう。「はたしてイスラエルは知らなかったのでしょうか。」まず、モーセがこう言っています。「わたしは、民でない者のことで、あなたがたのねたみを起こさせ、無知な国民のことで、あなたがたを怒らせる。」
ローマ11:25兄弟たち。私はあなたがたに、ぜひこの奥義を知っていていただきたい。それは、あなたがたが自分で自分を賢いと思うことがないようにするためです。その奥義とは、イスラエル人の一部がかたくなになったのは異邦人の完成のなる時までであり、
実は、イスラエルに約束が果たされる前に、前提となるのは異邦人の救いの完成です。主は、イスラエルを救う前に、異邦人の救いのために全てのことをされるのです。そして、ユダヤ人がイエス様を信じ救われた人を見て、妬みを引き起こすぐらい、主は私たち日本人のような異邦人に素晴らしい救いを与えられるのです。
日本人に福音がもたらされたのは1550年明治時代以降でした。その頃伝道していたザビエルたちは、日本人の真面目な質問にどう答えたら良いかわかりませんでした。
ある日本人がこのように質問しました。「イエス様を信じた自分だけが天国に行くのは嫌だ。私たちの先祖が福音を聞くことができなかっただけで救われないのは不公平ではないか？」
でも、イエス様は不公平ではないのです。福音を聞くことができなかった人々にも納得ができることを主はしてくださるのです。
とにかく、イエス様がお生まれになることによって、イスラエル人の救いが確かなものになったということは、異邦人である私たちが救われることも確かなことになったのです。