05_いぼ結び

ロープワーク改訂

[@chaikagome9725]

一か所、手順が逆ですね。最初に作った小さな輪に、画面左側から先端をくぐらせていますが、これだと保持力が期待できません。この映像のように進めるなら、右側から通すのが正しい形です（あるいは、左から通したいなら、最初の小さな輪を左右反転した形で作る）。
　
正しく結べば、竹垣を組むような恒久的な固定用途にも使えるほど強固で、ボルトや接着剤の無い古い時代から使われています。
　　
以下の手順で、動画の結びを（余裕があれば、正しい形も）試してみてください。
　
【1】 缶ビールのような、紐を抜き取りやすい物に結ぶ
【2】 紐を抜き取り、輪を広げるように手で引っ張る
　
この動画の結びが非常に弱い（手の力に負けて広がってしまう）事が判ると思います。
　
海外では、この動画の結びはGrief knot という名称で知られ、よくReef knot の失敗例として紹介されます。もちろん、通常は「結び」として扱われないものです。また、マジシャンの結びと呼ばれたり、その他、通常の結びが使えない特殊な場面で利用されます（※）。
　
（※ 造園業では、短期間で太く成長する若い樹木にはあえてGrief knot を用いたりします。成長すれば結び目は広がってしまうため、放置しても樹を傷めないわけです。知識のある職人は両者を使い分けるものですが、残念な事に現代ではGrief knot だけしか知らない職人が多いようで、その場合は「庭中あれもこれもマジシャンの結び」だったりしますね）
　
→ 「一か所間違うだけで失敗する」という危うさは、どの結びにも言える事であり、場合によっては事故の原因ともなるため、結びは正確に理解、習得する必要があります。
　　
◆いぼ結び（男結び）の特徴◆
保持力が強い、安定している、時間経過で緩みにくい、解くのが困難
　
◆Grief knot の特徴◆
保持力がない、緩みやすい
　
問題は、一般的な固定用途から防災関係に至るまで、間違ってこのGrief knot を紹介しているケースが多々ある事です。強固なはずの結びが「実はマジシャンの結びだった」というのは、当然ですが大変危険です。この動画もその一つと言えます。出来るだけ多くの人に、正しい強固な男結びを知ってもらえたらと思います。

[@永留精二]

そうなんだ。

[@貞子改ゆーき]

男結び？