交通の流れを変える可能性 「新しい五色台トンネル」開通効果と課題は？【急上昇ニュース 香川】 (24/02/28

今関心の高い話題を詳しく解説する「急上昇ニュース」です。香川県の人やモノの流れを変えるかもしれません。今回は新しい五色台トンネルを取り上げます。担当は堀さんです。
（報告　堀靖英）
まずは香川県の地理をおさらいします。香川県は大きく東と西にわかれます。東西を結ぶ道路は、さぬき浜街道・国道１１号・高松自動車道と主に３つあって、出発地や目的地によって使い分けられます。このうち一番海側を走るさぬき浜街道に２０２４年度、新しい五色台トンネルが開通します。これによりどんな効果が期待されるのか？取材しました。
２月２６日、岡山県早島町のスーパーマーケット、ハローズ本部を香川県の企業立地推進課が訪れました。
（香川県企業立地推進課　大野貴弘課長）
「非常時にも物流が止まらないように、道路網を整備していく。特にさぬき浜街道の五色台区間のトンネル整備をして、４車線化を進めている」
新しい五色台トンネルの開通で、香川県の物流がより便利になるとして、さらなる店舗の進出を要請しました。
（香川県企業立地推進課　大野貴弘課長）
「四国、香川県で事業展開を行っていく上で、企業にとって有利。積極的に活用していただきたい」
高松市と坂出市にまたがる五色台。さぬき浜街道の坂道を上ってくと見えてくるのが五色台トンネルです。このトンネルの真ん中が、二つの町の境です。
「現在の五色台トンネルのすぐ横で、工事が進んでいます。完成すれば香川県の東西を結ぶパイプがより広く太くなります」
２月２０日、貫通式が行われ、新しいトンネルがつながりました。２０２４年度、供用が始まると、現在の２車線対面通行から片側２車線の４車線に増えます。
（香川県　池田豊人知事）
「２車線と４車線では交通の安定性が断然違う。企業立地にも弾みがつくし、災害時の迅速な復旧という面でも大きな効果があると思う」
五色台トンネルは１９８１年に開通しました。当時は有料道路の一部でしたが、２０１１年に無料化されると交通量が急増しました。トンネル内は暗く対面通行で、事故も度々起きました。また上り勾配なので、大型車はスピードが落ちやすくなります。片側２車線の４車線になれば、通行速度アップなど利便性向上が期待されます。
（香川高等専門学校　宮崎耕輔教授）
「大型車は上り坂で速度が低下する。低速車両は左側の車線、速い車は中央よりを通行することで、速度差による交通の妨げが少し改善される」
これによって物流業界も恩恵を受けるとみられます。ハローズは２０２３年、瀬戸大橋のたもと、坂出市番の州町に新しい物流センターを稼働させました。このセンターから四国に３２ある店舗に商品を運んでいますが、商品の調達は最大６０店舗まで可能です。
高松市など香川県東部にあるハローズは現在７店舗。五色台トンネルの４車線化で、高松方面への物流がスムーズになれば、出店しやすくなるかもしれません。ハローズは瀬戸内で１８０店舗の出店を目指していて、計画の追い風にもなります。
（ハローズ　橋元克浩執行役員）
「我々にとっても非常にメリットは大きくて、坂出センターより東の店舗については、そこを活用させていただければ配送時間が短くて済む」
さぬき浜街道沿いでは、坂出北インターチェンジのフルインター化も新年度に控えています。現在は本州方面のみ乗り降りが可能ですが、四国方面も乗り降り可能になることで、さらに利便性が向上します。
４車線化によってスピードアップするとみられるさぬき浜街道の五色台トンネル。一方で、香川高専の宮崎教授は、これまでとは違う事故が起きることに注意が必要ともいいます。
（香川高等専門学校　宮崎耕輔教授）
「恐らく通行する車のスピードがアップする。高いスピードで事故が起きると重大事故、死傷事故につながるケースが増えるのが心配」
物流以外に、人の移動にも影響があります。例えば、高松～坂出間を通勤・通学する人は便利になります。それから、浜街道沿線にはイオンモール高松があります。イオン坂出が２０２４年２月いっぱいで一時休業するので、高松に買い物客が流れるかもしれません。
また、様々なスポーツイベントが行われる県総合運動公園もアクセスが良くなります。新しい五色台トンネルの開通は、香川県沿岸部の活性化につながるかもしれません。
以上、急上昇ニュースでした。