リニア水問題「命の水」への危機感 掛川
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- เผยแพร่เมื่อ 22 ม.ค. 2025
- シリーズでお伝えしている「リニア中央新幹線と大井川」の2回目。大井川から離れた掛川市も市民の健康を支える「命の水」として恩恵を受けています。過去には大きなトンネル工事のあと、水枯れを経験していました。
(看護師)「刺しますよ。」
掛川市と袋井市で運営する総合病院です。1日に60人近くの透析患者の治療をしています。腎臓の機能が低下しているため、透析液を通じてたまった老廃物を体外へ取り出していきます。こちらの男性は透析を受けて18年になります。
(透析患者)「週3回で1回に4時間。リニアと大井川の水の問題は僕らとしては命にかかわる水なので。」
病院の貯水槽に貯められている上水道はすべて、大井川が水源です。
(中東遠総合医療センター・宮地正彦院長)「水を一番必要とする医療行為は透析なんです。尿が出ない患者は水が溜まってしまうから、治療を1週間もやらないと致死的な状況になる。」
手術で使用した後の医療機器です。衛生管理のため大量の水を使います。病院で使用する1日の水の量は平均200トンにも上ります。
(洗浄室のスタッフ)「常に水で洗浄しないと血液などが落ちないので、水が当たっている状態になっている。朝8時から夜の9時までは常に使っている。」
(中東遠総合医療センター・宮地正彦院長)「(水が不足すると)病院の機能としては非常に困ってしまう。災害時も水が入らなければ、電気も大事だけど水の方が非常に大事であるということは認識している。」
掛川市が2019年12月に開いたリニア工事と水をテーマにしたシンポジウムです。大井川の流域では初めての開催でした。
(松井三郎・掛川市長)「(リニア工事には)百年の計をもって水資源の確保、環境保全に万全を期して取り組んでいただきたい。」
人口12万人近くが暮らす掛川市。市内には水源となる大きな河川はなく、昔から水に乏しい街です。
(掛川市水道課・山下剛課長)「島田市や藤枝市、焼津市や大井川の地下水があるけど、掛川は大きな川もなく(生活用水の)90%頼っている。大きな割合で大井川に依存している。」
掛川市から50キロ離れた大井川中流にある長島ダムです。長島ダムを水源に生活用水が7つの市へ供給されています。掛川市はそのうちの40%を超え、ほかの市に比べて依存度が高くなっています。掛川市民が心配するのはわけがあります。新東名の「粟ヶ岳トンネル」を掘ったことで水枯れが起きたのです。温泉がある山あいの倉真地区です。
(倉真地区まちづくり協議会・横地静雄会長)「倉真の一番奥ですね。最近はウォーキングコースもできたものですから。きょうは水量としては?普通ぐらいですかね。」
トンネル工事をしていた2001年から「松葉の滝」の水量が激減しました。40年ほど前の郷土誌に残された写真では水に勢いがあり、現状との差は歴然でした。
(倉真地区まちづくり協議会・横地静雄会長)「掛川市にとっては数少ない観光資源。私たちが小さい頃から親しんできた滝なので、そこの水がなくなったというのは非常につらい。」
トンネルに湧き出た水が島田市側に流れたことがわかり、ネクスコが流れた水の半分を倉真川に戻す措置を取りました。ただ、滝の水量が回復することはありませんでした。水枯れから20年近く経ったいまも、滝の水の回復を求めてネクスコと交渉を続けています。世界農業遺産の「茶草場農法」で知られる東山地区です。
(小林記者)「東山地区にも影響が及び、約20年前、家庭や製茶工場などで使う湧き水が枯れてしまいました。」
当時、水源となっていた設備も、いまでは錆付いてしまいました。当時を知る茶農家の杉浦さんです。
(掛川市の茶農家・杉浦敏治さん)「『工事で水が切れることはないですよ』という説明で着工して完成したわけですが、実際水量が減って、茶工場であれ、個人であれ、生活に困難した。」
夏場の水不足や春先の霜などから茶葉を守るために大量の水をまきます。世界農業遺産の茶畑も大井川の恩恵を受けています。杉浦さんは過去の水枯れを教訓に、リニア工事の影響は「最小限に抑えてほしい」と願っています。