オリジナル曲です。よろしければ聴いてください。
illustration : 咲里キリコ piapro.jp/t/nNuV
lyrics : sio piapro.jp/t/83NQ
music : panda
「よだかの詩 」
導線のない言葉を束ねて
はじめに傷痕をなぞって歌にしよう
埃を被ったお化けのピアノ　続きのない、あのラジオ
それから　それから　描きかけの、あの漫画
眠れない君に謎掛けをひとつ　明けない夜に指折り数えた、ふたつ
踏み切りの向こう　やけに狭い世界の果ても
オンボロのスニーカーで踏み越えて行こう
こんなの全部　思い付いただけの文章
記憶の隅から引っ張り出した出涸らしであって
そうだな　言いたい事　まだあったっけ？
「それなら、これはどう？
今から世界を変えに行くのさ。
ちっぽけな殻を破って、僕らの革命を果たすんだよ。
誰もが僕らの事を忘れても」
翌朝、空っぽの画用紙を取り出して
書き散らしたのは　あの人の面影
心臓の鼓動がやけに速くて　微熱にみたいに感じる
平熱六度の焦燥のままで
鍵盤で寝そべるお化けを捕まえ　周波数を合わせた　ようやく、はじまる
謎掛けの答えを探しに履いて　結び直した靴紐　ほどけないように固く
「この人生が映画なら、僕は探しに行かないといけない。
何をっていうのはなくて、例えば、ニューシネマ・パラダイスみたいな、そういうエンディングで飾れるような感情のようなものを。
そんなにセンチメンタルでも、輝いていなくてもよくて、つまり、約束のキスも本当はいらない。
本当に欲しいものは、明日に立ち向かう意思なのかもしれない」
「結局、革命は失敗に終わるだろう。
誰もが僕の事を忘れたまま、思い出を失くして太陽は回っていく。
でも、君だけでも覚えていてくれたらいい。
結局、最後に卵の殻を破るのは君だ。
何も変わらずとも、何も変わらなくとも、それによって僕の意思は果たされる」
「エンドロールの向こうで、君はどんなクレジットを見るだろう。
こんな中身のない言葉の群れも、思考の海を泳いで、朝陽を向かいに行くだろう。
終わりのない夜の向こうで、黎明の灯りが見えるだろうか。
宮沢賢治は、それをよだかに喩えた。それじゃあ、後はよろしく」
今から世界を変えに行くんだ
ちっぽけな殻を破って　僕らの革命を果たすのだ！
誰もが僕らの事を忘れたって　それでいいんだ
覚えているだろうか？　やけに狭かった世界の果ての向こうで
幻聴だった　お化けの正体も　描きかけの漫画や忘れたラジオに謎も
また出会える事を祈って　言いたい事はもう、これで全部