วีดีโอ

「奢る」 奢る奢らない問題というのをご存知だろうか。 男女が2人でご飯行った際、その女性のご飯代を男が奢るべきか、奢らないでいいか意見が分かれると言った問題である。 度々、TwitterあっX（旧Twitter）などで話題になっている、TH-camで女性芸能人が発言して炎上したりしている正直関わりたくない話題だ。 だが僕は今、その選択を迫られる危機に直面しているのである。 僕は社会人2年目のサラリーマンだ。先日、会社の同僚の畑さんと話すようになり、連絡先を交換し、メッセージのやり取りや、電話で盛り上がり、今日初めて2人でご飯に行くことになった。約束した時は嬉しさのあまり考えてもいなかった。この問題のことを、僕は今人生最大に悩んでいる。 まず僕の意見としては、その人によるということだ。その人が奢って欲しい人なのか、別に割り勘でいいでしょという人なのか、見極める必要がある。直接聞くなんて...

独白一人コント「逃亡夜」

「プリズム」 夏と言われたら、何を思い浮かべるだろうか。 海、祭り、色々あるだろうけど僕は変わっていて、合唱祭なんです。 そう、僕が通ってる高校は夏に合唱祭があるんです。夏休み直前に合唱祭があって、そのまま夏休みに入る。そんな学校なんです。 まあだから夏と言ったら合唱祭、そんなイメージなんです。 夏休みだって僕は遊ぶことはなく、レッスンばっかりだし。 僕は3歳の頃からピアノをやっていて、毎日ピアノ漬けの日々を送っています。 だから合唱祭でも中学の時から毎年伴奏は僕。まあ合唱曲の伴奏なんで簡単だから楽勝ですし、毎年しょうがなくやっていました。けど今年は気合いが入ってるんです。今年の高校最後の合唱祭に、父親が見に来ることになったんです。 僕の父親は、そこそこ有名なピアニストで僕もいつかは父のようなピアニストになりたいと思っています。そんな父はいつも忙しいので合唱祭はもちろん、僕のコンクー...

「望暑」 その日は朝から異常な気温の高さで、まさに絶望するような暑さの日でした。 いつも通り、会社に行くため最寄りの駅に歩いて行きました。駅に着いたときには身体中汗でぐっしょり、背中のシャツが張り付いて気持ち悪かったのを覚えています。ホームの中にも強い日差しが入り込み、肌を鉄板の上で焼かれているかのような、そんな感覚でした。 そして電車が到着し、乗り込もうとしたんですが、いつも通りのぎゅうぎゅうの満員電車を見て、みんな苦しそうにひしめき合っているいつもの光景を見て、僕はプツンと気持ちが切れてしまいました。僕は電車に乗り込むことはせず、そのまま扉は閉まり、電車は行ってしまいました。そして僕はホームにあるイスに腰を下ろし、ただずーっとボーッとしていました。何十分もボーッと、強すぎる日差しを全身で浴びながら、焦点の合わないままホームの隙間から見える空を見ていました。気づいた時には出社時間は...

「夏祭り」 あの日は、心地の良い暑さで、夏祭りをするには絶好の日でした。 高校1年生の夏、僕は密かに思いを寄せていた上木さんを、勇気を出して夏祭りに誘いました。上木さんは僕の誘いを受けてくれて、一緒に夏祭りに行けることになりました。 そして、海の近くの神社である夏祭り当日、僕たちは、花火大会を兼ねたその夏祭りを存分に楽しみました。あの時までは。 祭りの中盤、もうすぐ花火が打ち上がるんじゃないかという時、2人で人混みの中を歩いていると、僕の肩が、すれ違う人の肩にドンっとぶつかってしまいました。僕は「あっすいません」と言い、行こうとすると、「おい待てや」と肩を掴まれました。振り返るとそこには、いかついヤンキーが5、6人こちらを睨んでました。「いてーな、何してくれてんだ」 僕は怖くて何も言えません、体が硬直して動くこともできません。 「責� とってもらおうか？ああ？」 そうヤンキーが僕をま...

「八年」 あっどうも、いやー中々来ないですね、電車。 結構待ってるんですけど、まあけど来てほしいような来てほしくないような複雑な心境です。 だってこの電車には帰りの電車がないんです。 行きの電車しかない。乗ってしまったら帰ってくることはできない、この駅にはもう二度と。 だからまた心が決まらなくなってる。もう一度乗ろうってやっと決めれたのに。前に一度降りてしまったんですよ、この駅で。途中で降りることはできるんです。途中で降りてもいいし、違う電車に乗ることだってできる。けど僕はまたこの駅に来た。一度降りてしまった電車にまた乗ることを決めた。はずでした、けどいくら待っても電車来ないし、待ってたら色んなこと考えだしてやっぱり怖いってまたなってる。ただ乗ってるだけじゃダメなんですよ、それじゃ進まないし。電車に誰も乗ってないかもしれないし、乗ってくる人もいないかもしれない。いや正直、誰も乗ってき...

「必要」 誰からも必要とされてこなかった人生、そんな僕を初めて必要としてくれる人と僕は出逢ったんです。 僕たちに告白の言葉はなかった。だってそれが大人の恋愛ってやつでしょ？ 僕の彼女、ユキは最高なんですよ！とにかくかっこいい。 見た目は毎日同じ服を着ていて、上下赤のジャージ、それとキティちゃんサンダル。 毎日同じ服着るなんてスティーブ・ジョブズみたいでかっこいいでしょ？ 髪もバシバシの金髪でかっこいい。 タバコも男しか吸わないようなきついやつを1日5箱ぐらい吸っててめっちゃかっこいい。 ユキは深夜僕に急に電話をかけてきて、缶ビール２本買ってきてって頼んでくれるんです。 僕はすぐさま家を飛び出し、5キロ先のユキの家まで猛ダッシュで缶ビールを買って行きます。持っていって玄関で渡して僕は帰ります。 僕はまだユキの家にあがったことはない。 あとはパチンコ屋に代わりに並びにいったり。 先頭に並...

「糸」 昔から不器用だった。 そんな奴が、何年かぶりに縫い物なんてやろうとしたら、そりゃ散々なことになるだろう。 僕は今まさに、中学以来の裁縫をしている。 裁縫セットなんて開いたのはもちろん中学以来、なんかもしかしたら使うかもと実家から一応持ってきていた裁縫セットは全く出番のないまま、何年も押入れの隅に眠っていた。 それをわざわざ引っ張り出して、家の中で一人、この深夜1時になる真夜中に僕は、裁縫を始めた。 まず最初にこの針の穴に糸を通すのができない！ こんなの不器用な僕にできるはずがない！無理だ！ あっそうだ先をちょっと舐めて あー通ったかと思ったけど奥を通過しただけだ。 こういうのあったな腹立つ。 中学の時はあれがあったんだ、あの銀の丸いやつで下がダイヤの形になってるやつ。あれが裁縫セットの中に入ってないんだよ！どこいっちゃったんだよ それから僕は根性で針の穴に糸を通すのにおよそ3...